いつ書こうか、タイミングを伺っていたが、楽園が終わったので書くことにする。

アニメ化はその原作の出世の証のひとつである。
基本的にアニメ化のメリットはアニメ化……つまりは動いたり音がついたりすることである。
そこにはリスクも有る。
作画クオリティからシナリオ改変、表現の自主規制、ダメな声優などが考えられる。
特にひどい場合は「原作レイプ」なる極めて不名誉な称号が与えられることもある。

基本的にアニメ化は「そのまま」「アニメにする」することが求められる傾向にある。
ところが、シナリオ分岐型ギャルゲーには特有にして根本的な問題が発生する。
つまりは「どのシナリオを選ぶのか?」ということだ。
だいたい3つの解決方法がある。
  • 一人選ぶ
  • 全部やる
  • 合成する

「一人選ぶ」というのは最もメジャーな解決方法だ。
基本的にはメインヒロインが選ばれるが、メインヒロインが曖昧だったり、メインじゃないヒロインが選ばれることもある。

「全部やる」というのはやや新しい手法で、『ヨスガノソラ』や『アマガミ』などが挙げられる。
はじめに共通ルートをやったあと、最初のヒロインをやり、その後分岐直後に巻き戻り次のヒロインへ……ということである。

「合成する」というのは巻き戻らず各ヒロインエピソードを順番に消化していく手法で、問題としてはシナリオ改変度が最も高くなるということだ。

ところが『グリザイアの果実』に関してはこの「合成」が圧倒的に正しくなる。

グリザイアシリーズ原作は『グリザイアの果実』、『グリザイアの迷宮』、『グリザイアの楽園』の3部作である。
ここで重要なのは『グリザイアの果実』のどのルートも続編には直接的には通じてはいないということだ。
(厳密には各ルートのアフターシナリオが存在するが話を簡単にするために無視する。)

『グリザイアの迷宮』、『グリザイアの楽園』は『グリザイアの果実』の5ルート全てを合成したシナリオを前提としているのである。
つまり、『グリザイアの果実』はアニメの方が正しいということになる。

厳密には重要ながらもカットされた要素があるのでやはり正しくないが、大筋のシナリオに関してはアニメの方が正しいという奇妙なことになっている。

ただし、ここで「そもそも続編自体が間違い」という発想をすればその限りではない。