珍しく書籍ネタかである。

『小説家になろう』で人気を得て、書籍化された『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』の感想だ。
あまりのおもしろさに3巻までかなりの勢いで読んでしまった。

超簡単に言うと、ニートが家を追い出されたところ、トラックにはねられて死亡したが、ファンタジー世界に転生し、前世の後悔をバネにがんばって人生をやり直すという話である。
タイトルそのままである。

アイソトニックノベル

まず、小説というものは、作者や作品ごとに文の読みやすさにかなり差がある。
読むのに咀嚼力を必要とする言わばスルメのようなものもある。

一方、本作は極めて平易な文体で書かれている。
だから、スーッと染みこむように自然に読める。
アイソトニック飲料ならぬアイソトニックノベルである。
アイソトニック飲料が人体に吸収されやすいのは、体液と同じ浸透圧であるからだが、アイソトニックノベルが読みやすいのは「普通の人」の読解力に合わせているからである。
もちろん、「普通の人」でも無理をすればある程度難しい文章を読むことはできる。
しかしそれでは駄目なのだ。
水分――ではなく、物語、娯楽、刺激といったものが不足した時に、素早く手軽に補給できなくてはならない。
さらに、文体だけでなく内容もアイソトニックである。
世界観こそファンタジーであるが、主人公の「内面」は現代日本ののオタクなニートのおっさんである。
つまり、読者に近い。
ファンタジー世界もFFやドラクエなどによって刷り込まれているのである程度親しみが持てる。

基本的に『小説家になろう』では全体的にこのような「ニート」が「ファンタジー世界」に「転生」する話が人気らしいが、その代表たるものが本作ということだろう。

そんなネタみたいな設定であるが、読み始めるすごい勢いで引き込まれるのである。
あと、ファンタジー世界だけどネットスラングやオタクネタが使われていたりして、この異世界転生設定のすごさを垣間見ることができる。

自信を持ってオススメできる作品だ。

無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 1 (MFブックス)
理不尽な孫の手
メディアファクトリー
2014-01-23